陸上自衛隊に入隊をすると大抵の装備品は「支給」か「貸与」になります。
制服や迷彩服はもちろんのこと、ジャージ、寝袋やリュックも貸与してもらえますし、
靴下やシャツなどの下着なども支給をしてもらえます。
一方で「装備にお金をかければかけるほど訓練が楽になる」という法則もあるので、
私物装備を身銭を切って買うことも多いです。
なお陸上自衛隊には「身銭を切ってまで訓練物品は買いたくない」という人もいれば、
私物品にこだわる隊員もおり、特殊部隊愛用のグッズをいそいそと集めている人もいます。
今回については私物装備をテーマに解説をしていきましょう。
目次
楽をしたければお金をかけろ
陸上自衛隊では「楽をしたければ装備にお金をかけろ!」という言葉があります。理由は官品(支給品)の装備は質が高いものばかりではなく、機能性が低いものも多いためです。特に半長靴の中のインソールや靴下、インナーのシャツ、寝袋などはそれなりに自分でお金をかけないと辛いものがあります。
スマホのソーシャルゲームで例えるのであれば、
陸上自衛隊は「基本プレイは無料」ですが、
お金をかけると「楽にプレイができる」といえます。
私物の訓練物品を買わない人は「無課金ユーザー」
私物装備にこだわる人は「廃課金ユーザー」と言えるでしょう。
現在は本場のミリタリーグッズを輸入する販売代理店や、
登山メーカーなども陸上自衛隊向けに製品を作っているので商品ラインナップは豊富です。
(モンベルはゴアテックスの迷彩雨衣を販売しています)
ただ迷彩柄やミリタリーグッズは一般的なニーズがないため割高になりやすく、
高品質なプロダクトを求めるのであればそれなりにお金を出す必要があります。
お金さえあれば暗視スコープや高機能双眼鏡も買える時代ですが、
中古の軽自動車が購入できるぐらいの金額は簡単に消えていきます。
この双眼鏡は100万円超えます。
つまり私物装備の購入はコストパフォーマンスやお財布との相談になるので、
気軽にホイホイと買えるものでもないのです。
無課金ユーザーについて
無課金ユーザーの隊員は本当に必要最低限の訓練物品にのみお金を使います。
靴下も5枚で1000円のようなペラペラの物を使い、
迷彩シャツも誰かから貰ったものを使います。
彼らは教育隊で買わされたジャージを後生大事に履いており、
ランニングシューズもボロいです。
理由は「仕事で使うものを自分で買いたくない」という謎のポリシーを持っている人たちや「官品だけで訓練をすることに意味がある」と考えている人たちもいます。部隊にいると同僚の不用品や退職者から訓練物品などをもらえることが割と多いので、彼らは誰かのお古を好んで使用します。さらに一歩上をいく無課金ユーザーはシャンプーやせっけんなども風呂場で残されている「誰かの遺失物」を使用し、日用品にも金をかけないようになります。
部隊というライフサイクルに依存して生きている人たち言えるでしょう。悪く言えばケチな奴らですが、よく言えばエコで地球環境に優しいですね。今風で言えばSDGsの先駆けです。
廃課金ユーザーについて
廃課金ユーザーはとにかく訓練物品にお金を使います。理由は「命を懸けるものに投資をするのは当たり前」「支給品だけに頼るのはプロ意識が足りない」など様々ですが「休日のサバゲーにも使えるから…」と趣味と実益を兼ねているような人たちもいます。
彼らは「米特殊部隊が使っているライト」「ゴアテックスの雨衣」「防弾サングラス」など様々なアイテムを持っており、部隊などで「これ買ったんだけどいいよ」と装備の見本市のようなことをやっています。「米特殊部隊のデルタフォース採用品」などのキャッチコピーが彼らの購入意欲を燃え上がらせます。
確かに私物装備は官品よりも機能性が高く、デザインも素晴らしいのですが「えっ!そんなのが〇万円もするの!」と思えることがあり、訓練によっては私物使用が不可のことがありますので使用範囲が限られることもあります。
ただ部隊でタスマニアンタイガーやサロモンなどのリュックを使用すると「あっ!カッコいいなぁ」と思われるのは事実であり、オシャレさんは自衛隊内でもオシャレポイントを押さえてきます。ちなみに売店で売っている2000円ぐらいの安いリュックは「ダサいなぁ」と思われることが多いので、ファッションリーダーを目指している人は身銭を切る必要があります。
ファッションリーダーになるためのタスマニアンタイガー
また廃課金ユーザーは「実戦への有効性」というよりも「カッコイイ装備の俺が好き」という本音が見え隠れしていることもあり、奥さんを説得するために「任務で必要だから・・・」と言っているケースもあります。
この辺りも人それぞれですね。
それなりに揃えるのが一番
結局のところ、私物装備は「それなりに揃えるのが一番」です。
疲労度に関係するような靴下・靴底インソールや、
快適に訓練するための速乾シャツ、使いやすい革手袋などにはお金をかけるべきです。
しかしブランド物のサングラスやリュック、高機能双眼鏡などはあれば便利ですが、
必須購入品ではありません。
特に行軍などでは無課金でやると並の隊員では死にます。
ますらおだけに許される荒行と言えるでしょう。
地獄の行軍を楽にするアイテム
行軍で必要な課金グッズについては上記の記事にまとまっているので、
ぜひ読んでみてください。
まとめ
自衛隊からの支給品だけで訓練することも可能ですが、
まだまだ利便性や質を考えると私物購入のほうが良いことも多いのは事実です。
つまりビジネスチャンスはあるのでミリタリー系の人は頑張ってください。