陸上自衛隊のお仕事紹介③

今回は前回に引き続き、施設科について詳しく紹介をしていきます。

①はこちらから

陸上自衛隊のお仕事紹介

 

施設科は「ますらお of ますらお」な職種だ!

施設科の任務には地雷(対戦車)敷設と地雷処理もあります。

地雷処理については専門の処理器材もありますが、器材がない場合は人力で棒を地面に突き刺して、地雷を探して素手で処理しなくてはいけません。敵の機関銃の弾が飛んでこようが、砲弾が落ちてこようが味方を進めるためであれば地雷を処理します。

wikipediaより出典(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%BD%E8%A8%AD%E7%A7%91#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:6E-KD-1_(%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E5%87%A6%E7%90%86(%E5%BF%85%E9%80%9A%E3%81%AE%E4%BF%A1%E5%BF%B5))_R_%E6%95%99%E8%82%B2%E8%A8%93%E7%B7%B4%E7%AD%89_182.jpg)

まさに最前線に出て作業をする決死隊です。
彼らが命を懸けて地雷を処理をしないと普通科のライフルマン達は突撃できません。

私は幹部候補生学校の時に「お前らが今から突撃する道は、施設科が命を懸けて作った道だ!」と教わりましたが、まさにその通りなのです。施設科がいなければ普通科部隊の突撃を成功させることは不可能と言えるでしょう。

なお地雷の処理方法には器材や人力の他に「家畜による処理」という無茶な方法があるので、こちらも紹介しておきましょう。これは「地雷原に牛や馬や豚を放てば地雷を踏んで処理してくれるよね」と言う無茶なものです。

戦国時代における有能な軍師のような発想ですが、それを実践した人がいないので本当に効果があるのかは謎です。そもそも論にはなりますが、その家畜は「どこからやってくるのか?」は誰にも分からないのです。

動物使いのおじさんがラッパを吹くと、森から動物たちが現れて地雷原に突撃していくのでしょうか?牛や馬も地雷原に喜んで突っ込んでいくほど頭が悪いとも思えず、非現実的な処理方法と言えるでしょう。

なお「機雷」という海に浮かべる地雷のようなものを敷設するのも施設科の仕事です。

陸上自衛隊第5施設団  小郡駐屯地HPより出典(https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/5eb/5ebhp/6.katudoujoukyou/tougouennshu/saibukatudoujoukyou.03jx.html)

船の出来損ないみたいな水陸両用車ですが、イメージ通りめちゃめちゃ酔うそうです。

その他にも、トンネルを作るのを専門とする坑道中隊や、ダンプ野郎ばかりのダンプ中隊もあります。

施設科はまさにプロフェッショナル集団と言えるでしょう。

昭和の施設科は荒くれ者も多かった

昭和の時代の施設科は、吉幾三のようなスタイルの隊員が大勢いたそうです。
パンチパーマにチョビ髭、サングラス、タンクトップ姿で咥え煙草でダンプを乗り回している隊員が多かったと聞いています。(私が在籍していた時もそうしたベテラン隊員は一部おり、「ちょび髭のおじさんは施設科」や「色眼鏡をかけている人は施設科」などの見分け方がありました)

吉幾三 : 俺ら東京さ行ぐだ (7インチ) | Sumally (サマリー)

清く正しい吉幾三スタイル

そんな私服を着ても彼らは一見すると「オラオラ系の地元の土建屋風」「中堅の地元ヤクザ」だったようです。中には街に繰り出して「お仕事は?」と聞かれても「施設」としか答えない隊員もいたことから「あー、(更生)施設の人なんですね」と思われていたという謎の小話まであります。

部隊の誰かが結婚をすれば、色眼鏡をかけてパンチパーマ、真っ黒のスーツで式場にやってくるので「暴力団の結婚式にしか見えない」という話もあったそうです。一昔前の施設科隊員は独特の雰囲気があったことだけは覚えておくといいでしょう。

そうした彼らですが技術だけではなく、実戦でも頼りになる存在です。
なぜなら普通科部隊が全滅すると、施設科を戦闘員として転用することも珍しくないからです。そのため、施設科隊員は普通科顔負けの戦闘スキルを持った隊員もザラにおり、エリート部隊である工兵に恥じない戦いをします。

余談ですが、施設科の人は強面で癖が強い職人が多い一方で、義理人情に熱い男前な人も多かった印象があります。他の部隊なら断られるような調整も嫌な顔をせずに受けてくれることも普通にあります。これも昔ながらの義理人情が強い側面かもしれませんね。

施設科といえばえんぴ!

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陸上自衛隊第13旅団【公式】Twitterより出典(https://twitter.com/13b_jgsdf/status/1135405262926303233/photo/2)

陸上自衛隊ではショベルのことを「エンピ」と呼称します。

全職種のなかでエンピをとりわけ使う事の多い施設科ではエンピを信仰の対象としています。銃を捧げるのは「捧げつつ」ですが、施設科には「捧げエンピ」があるという伝説まであります(本当にあるのかは知りません)

当然ながら重機での作業だけはなく、人力の作業はとても大切です。
まさにエンピは彼らにとっての神器なのであります。

汗を掻きながら自慢の筋肉を揺らし、ひたすらに穴を掘る彼らは「エンピ系男子」「エンピ系女子」と言えるでしょう。新宿歌舞伎町などにいる「ぴえん系女子」の対極に位置していると思います。

ぴえん系女子

一方で一見対極な存在に見える「ぴえん系」と「エンピ系」にはいくつか共通点がありますので、解説をしていきましょう。

1.「ストロング酎ハイが好き」
「ぴえん系」は「お酒が好きじゃないけど早く酔いたい」という理由で、ストロング酎ハイを飲むようですが、「エンピ系」は「お酒に強すぎてまともに飲んだらお金が大変」と言う理由でストロング系を飲みます。もっと強い人は「大五郎」か「がぶがぶ君」を飲みます。

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2.「束縛が強い」
「ぴえん系」は彼氏が「何しているか不安で不安でたまらない」といった結果、束縛が強くなります。「エンピ系」は何かと資材を運搬する機会が多いですが、資材を縛着する紐が緩いと高速道路で不安で不安でたまらないのでギッチギチに束縛します。

3.「ホストのために頑張る」
「ぴえん系」は担当ホストのために、粉骨砕身がんばりますが、「エンピ系」は師団司令部(ホスト)のために必死に粉骨砕身して強力な防御陣地をつくりあげます。

4.「地雷系である」
「ぴえん系」は地雷系女子ですが、「エンピ系」は地雷は長い距離担いで移動したり、埋めたり、丁寧に処理する地雷系です。

5.「誰かに頼られたい」
「ぴえん系」は誰かに必要とされたい気持ちが強いです。エンピ系も一緒です。PKOなどで世界中で頼られてます。

6.「すぐに壁をつくる」
「ぴえん系」は「もう無理」と思うとすぐに心に壁を作って、LINEなどをブロックします。「エンピ系」は「敵に囲まれてもう無理」という状況でもすぐに壁を物理的に作ってどうにかします。対戦車障害を置いて、相手をブロックします。

7.「繁華街が好き」
「ぴえん系」は歌舞伎町のトー横に行きます。エンピ系は「立ち飲み屋」で酒を飲むか「花太郎」でお好きなDVDを5枚選んでます。

最後になりますが、施設科の職種徽章は城ですが、城にしては平等院鳳凰堂みたいな不思議な形になってます。
実は縦にするとエンジニアの「E」になっています。

陸上自衛隊HPより出典
(https://www.mod.go.jp/gsdf/about/recruit/branches/shisetsu.html)

豆知識として覚えておいてくださいね。

つづく

次回は通信科を紹介していきます。
「陸上自衛隊ますらお日記」はこういう話ばかりなので、
気になる方は書籍もどうぞ!


陸上自衛隊ますらお日記

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