軍隊が食べるレーション(戦闘糧食)、それは戦士たちが食べるエネルギー源であり、過酷な戦場ですぐに食べることができる合理性があります。しかし「味はどうなんだ?」とあなたは疑問に思ったことはないですか?
今回については神奈川地方協力本部から写真をお借りをして、今やなき「缶飯」について解説をしていこうと思います。
https://www.mod.go.jp/pco/kanagawa/kouho/kan/kan.html
※この記事の缶飯の写真については神奈川地方協力本部のHPより転用してあります。
元記事も面白いのでぜひアクセスしてください。
目次
1.そもそも戦闘糧食(レーション)とは
まずは戦闘糧食(別名レーション)について解説をしていきます。戦闘糧食とは軍隊が野外行動を行う際に食べる携行食です。野外行動時には炊事を行う場所や時間がないため、各人に戦闘糧食を携行させるのです。
戦闘糧食で大切なことは「味」です。行動に必要なエネルギーだけを補給するのであれば「乾パン・塩・油」をミキサーで混ぜて固めた戦闘糧食でも問題ないのですが、そういった粗末な食事ばかりだと部隊の士気は著しく低下します。そのため各国の軍隊は「温かく、美味しく、種類豊富」な戦闘糧食を開発・支給をしているのです。
そして戦闘糧食の特徴として「カロリーが高い」「塩分が強い」という2点があります。これは野外行動で失ったカロリーや塩分を効率よく補給できるように調整をしているためであり、民生品の缶詰やレトルトよりも癖があります。
一時期、日本でもレーションブームがありましたが、戦闘糧食は何も運動をしていない人が室内で食べると「うげぇ!」となる味です。つまり戦闘糧食とは「カロリー・塩分が不足しているときに食べると美味い」食事であり、特に運動していないときにあまり食べるものではないのです(身体にも悪いと思います)
2.自衛隊の戦闘糧食について
それでは次に自衛隊の戦闘糧食について解説をしていきます。自衛隊の戦闘糧食を大きく分類をすると2種類あります。「戦闘糧食Ⅰ型」と「戦闘糧食Ⅱ型」です。Ⅰ型が缶詰、Ⅱ型がレトルトとなっています。
今回の記事ではⅠ型の缶飯を中心に解説をしていきますが、Ⅱ型についても簡単に解説をします。
見た目や名前から分かる通り、戦闘糧食はⅡ型のほうが新しいです。味付けもⅡ型のほうが癖が少なく、ハンバーグやカレーライス、タコライスなど自衛官の胃袋を掴むようなラインナップになっています。
では次に今回のメインである缶飯の味について端的に説明をしましょう。Ⅰ型は見た目の通り「益荒男のための食べ物」です。Ⅱ型よりも風味や味付けが独特であり、なかなか面白い味がします。戦闘糧食Ⅱ型はギリギリ今どきの女の子でも食べられるかもしれませんが、Ⅰ型を食べられる女の子はおそらく武家の娘かと思います。
そんなⅠ型のメニューについて解説をしていきましょう。
3.ごはん 益荒男度:★☆☆☆☆
最初にごはん類について解説をしていきます。上から「白飯・赤飯・鳥飯・しいたけ飯」です。
ごはん類の特徴として「重い」そして「密度がすごい」ということが挙げられるでしょう。
ぎっちりご飯が詰まっているので、箸を入れる角度を考えないと割り箸が折れるのです。
まさに「エネルギーの塊」であり、ロックマンで例えるなら回復アイテムのE缶みたいなものです。
なお味に関してですが、缶飯にしては癖はありません。
赤飯も鳥飯も「うまいうまい!」と食べる隊員が普通にいます。
一方でしいたけ飯だけは独特の臭いがするため「しいたけ飯だけはマジ勘弁」という人もいました。
いずれにしても、ごはん類は初心者向けと言えるでしょう。
4.味付ハンバーグ・まぐろ味付け 益荒男度:★★☆☆☆
次に主食である味付ハンバーグ・まぐろ味付けについて解説をしていきます。
まずは味付ハンバーグから説明します。
味付ハンバーグはソースの下に、スパイシーな加工肉が沈んでいます。
味付けが濃いので密度の高いごはん類がガンガン攻略できます。
粗悪な肉を香辛料で固めて食べられるようにしたハンバーグの歴史を感じることが一品です。
このジャンクさが益荒男の胃袋を掴んで離しません。
備え付けのグリーンピースが犬の餌に似ているので、
私は「ペディグリーチャム(犬缶)」と呼んでいました。
次はまぐろ味付けの解説です。
まぐろ味付けは醤油風味のタレの下に、まぐろが沈んでいます。
イメージとしては佃煮のような感じであり、これもまたごはん攻略の役に立ちます。
味付ハンバーグよりも癖がなく、和の心を感じるヘルシーさで私は好きでした。
なお、私はこの缶詰を「ねっこましぐら(猫缶)」と呼んでいました。
食べ物を「犬缶・猫缶」と表現をしているのは無礼千万ではありますが、
あの実際に缶詰を開けて食べると「犬缶だ・・・」と言っている意味がわかると思います。
4.コーンミートベジタブル 益荒男度:★★★★☆
次はコーンミートベジタブルについて解説をしていきます。
コーンミートベジタブルはコーンビーフとミックスベジタブルが核融合した悪魔的な食べ物です。
本来の色はコーンビーフ色なのですが、缶詰の金属反応でたまに写真のように紫色になっています。
味付けはスパイシーなコーンビーフであり「世界崩壊後の味」との呼び声も高いです。知り合いの陸曹は「これ食べるとヤベーもん食っている感じで脳みそ痺れるんだよな」とよくわからないことを言っていました。
なおコーンミートベジタブルは「熱湯を入れてかき混ぜるとスープ」になると言う説明書きがあります。
私は試したことはないのですが、食べたことある人曰く「これを説明書きに書いたやつはキマってるだろ」と言っていました。神奈川地方協力本部のHPにも写真がありますが、より文明崩壊後の食べ物に近づいていますね。
5.ます野菜煮 益荒男度:★★★★★
最後に、ます野菜煮について解説をします。
ます野菜煮はその名の通り、「ますと野菜」を煮た缶詰です。
ます野菜煮は若手隊員に特に人気がなく「なぜマスを煮るんだ!?」と怒りの声さえありました。
他の缶詰は香辛料が強く効いているのでご飯がよく進みます。
しかし、ます野菜煮はご飯が進まない・魚臭いなど不評でした。
とはいえ好きな人は好きであり、私もそこまで嫌いではなかったのですが、
中には「ます野菜煮の臭いがもうダメだ!」という隊員もいました。
他の缶詰と比べればそんな癖はないのですが、苦手な人が多いのであえて益荒男度をMAXにしました。
好き嫌いせずにモリモリ食べること、それが益荒男の条件なのです(国民の見本たれ!)
6.まとめ
今回は缶飯について解説をしましたが、残念ながらⅠ型は予算の都合で現在は生産停止となっており、現在は備蓄もほぼないそうです(聞いた話ですが)そのため入隊の年次が浅い人はおそらく缶飯を食べたことがない人も多いと思います。
また缶飯をこっそり持っている自衛官もいるかもしれませんが、戦闘糧食は基本的に譲渡不可です。どうしても缶飯が食べたければ、缶飯を家に備蓄している自衛官の家に行き、カーテンを締め切ってこっそり食べましょう。
おわり
缶飯写真の引用元(神奈川地方協力本部)
https://www.mod.go.jp/pco/kanagawa/kouho/kan/kan.html